極紫外線リソグラフィー、つまり EUV について聞いたことがありますか?この技術は、高出力レーザーで通常の可視波長を超える光を生成し、シリコンウエハ上に半導体回路パターンを形成するために使用されます。EUVプロセスは、汚染を防ぐために水素が豊富な環境で行われます。
半導体メーカーは、2000年代半ばに EUV を使用し始めました。これは、スマートフォンや高性能コンピューティング向けの、より小型で高速かつ高性能なチップの実現を可能にしたためです。
半導体製造工場は、EUVの導入拡大に伴い、十分な水素の確保、大規模な真空および除害インフラへの対応、排出量削減という 3 つの課題に直面しました。
長年培ってきた専門知識を活用
アトラスコプコグループの真空技術ブランドであるエドワーズは、イノベーションの課題に取り組みました。このチームは、1990年代後半から半導体業界向けにガス化学、精製、システム統合の分野で豊富な知見とノウハウを培ってきました。
「多くの半導体プロセスとは異なり、 EUVでは危険な化学反応を伴いません。」と、グループの半導体部門の新興技術担当副社長のChris Baileyは述べています。「私たちはすでに別の技術分野で水素リサイクルの実績を持っていました。その経験からEUVプロセスでも同様のアプローチが可能だと確信していました。」
このチームは、ニューヨーク州に拠点を置く電気化学技術企業およびシステム統合企業、さらにニューヨーク州エネルギー研究開発局 (NYSERDA) と協力し、回収した水素を超高純度水素へ精製できる水素回収システム (HRS) を開発しました。
排出ガスの低減
世界で使用される水素の多くは化石燃料を原料として製造されています。水素回収システムを活用することで、CO2 排出量の削減につながります。
「ここには大きな環境面でのメリットがあります」と、システム背後の電気化学を構築するプロジェクトが始まった 2016年にチームに加わったテクノロジーマネージャーの Zach Dunbarは言います。
「通常、水素はメタンガスを原料に製造されますが、石炭や石油から製造される場合もあります。その製造過程では大量のCO2が排出されます。水素をリサイクルできれば、新たな水素製造に伴うCO2排出を削減でできます。」
供給リスクへの対応
物流もまた、お客様にとって重要な課題です。サプライチェーン上の課題や安全規制により、現場での保管と配送にはさまざまな制約があります。
「特に、大手チップメーカーのいくつかが拠点を置く台湾のような島には、物流上の制約があります。必要な水素はすべて輸入に頼らなければなりません。」と Chrisは言います。
「一部の地域では、毎日配送される液体水素のチューブトレーラーについて話しています」と、半導体部門のグローバル EUV テクノロジーおよびアプリケーションマネージャー、Anthony Keenは付け加えます。
HRS は、使用時に水素をリサイクルすることで、配送列を減らし、サプライチェーンのリスクを軽減し、安全性を向上させるとともに、保管スペースの有効活用にもつながります。
理論から実用化へ
探索的な研究開発プロジェクトとして始まった取り組みは、半導体業界のロードマップに沿った商用ソリューションへと発展しました。
「 EUV ツールに供給するガスを精製・制御することで、供給側と回収側の両方に対応できるようになりました。私たちはシステム全体の両端で安定性を確保する必要があります。」とChrisは説明します。
「この業界では、10年から15年前に生まれた優れたアイデアが、今になってようやく実用化のタイミングを迎えることがあります。」とAnthonyは言います。
開発には長い時間がかかりましたが、この技術が活躍する時代が到来したのです。